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乳ガン治療の種類と長所短所

乳ガン治療法は、10年前までは、乳ガンに対する唯一の治療法は乳房を取り除くことであると考えられていました。乳房のすべて、乳房の下の胸筋、そしてわきの下のリンパ節を取り除く定型的乳房切除術が、乳ガンの最も一般的な手術法でした。この乳ガン治療により、ほとんどの女性は身体的ならびに精神的な傷を受けました。多くの女性は乳ガンと同様に定型的乳房切除術を恐れていました。現在では、定型的乳房切除術はほとんど行われなくなりました。乳ガンに対する早期の診断と治療は非常に進歩しました。

乳ガンと診断された場合、治療法を選択することができるようになりました。研究の進歩により、さまざまな新しい治療法の長所と短所が明らかになりつつあります。乳ガンは病期によって治療法が異なるので、すべての女性に対しての最高といえる治療法はありません。乳房にしこりを発見したり、主治医が乳ガンであることを示唆した場合には、さまざまな治療法の可能性と、それぞれの危険性と利益に関して知る必要があります。

乳ガンの外科療法

乳房切除術は乳房を外科的に取り除くことを意味する医学用語です。これには乳房、胸筋、そしてわきの下のリンパ節を取り除くものから、乳房のみを取り除くものまでが含まれます。他の手術法としては、乳房のしこりを取るだけの方法もあります。

@定型的乳房切除術

乳腺、乳頭、皮膚、皮下脂肪、胸筋、すべてのわきの下のリンパ節を取り除きます。定型的乳房切除術は70年以上にわたって乳ガンに対する標準的な手術治療法として用いられてきましたし、現在でも用いられることがあります。

○長所:乳ガンが乳房や周辺の組織以外にひろがってない場合には、乳ガンを完全に取り除くことが可能です。リンパ節の検査は今後の治療を計画する際に重要な情報を与えてくれます。

○短所:すべての乳房と胸筋を取り除くことにより、長い傷跡と胸部全体のくぼみを残します。リンパ浮腫(腕のむくみ)、腕の筋力の低下、肩の運動制限、そしてしびれと不快感を生じることがあります。乳房再建も困難になります。

A非定型的乳房切除術

乳房とわきの下のリンパ節、そして胸筋上の組織を切除します。2つの胸筋のうち小さな筋肉(小胸筋)も同時に切除する場合があります。この手術法は“全乳房切除術に腋窩(えきか)のリンパ節郭清(かくせい)を加えた術式”とも呼ばれ、現在では早期乳ガンに対する最も標準的な手術法です。

○長所:胸筋と腕の筋力を保ちます。むくみを生じることは少ないですし、また仮にむくみを生じたとしても定型的乳房切除術よりは軽くすみます。定型的乳房切除術に比較して美容的です。早期乳ガンを非定型的乳房切除術で治療した場合の生存率は、定型的乳房切除術と同等です。乳房再建は定型的乳房切除術後よりも容易ですし、手術前から計画することも可能です。

○短所:乳房は取り除かれます。リンパ節を取り除くことにより、腕のむくみを来すことがあります。

B単純乳房切除術

乳房のみを切除します。乳房以外に乳ガンがひろがっていないことを確認する目的で、乳房に近いわきの下のリンパ節を少数採取することもあります。術後、放射線療法が加えられる場合もあります。

○長所:胸筋は切除されませんし腕の筋力も低下しません。ほとんど、またはすべてのわきの下のリンパ節は残るので、腕のむくみが生じる可能性は非常に少なくなります。乳房再建はより容易です。

○短所:乳房は取り除かれます。ガンがわきの下のリンパ節まで広がっていた場合には、発見されないまま残ります。

C乳房部分切除術

腫瘍と周囲の正常な乳腺組織を楔状に切除します。小範囲の皮膚と腫瘍下の胸筋上組織も切除します。手術後に乳房に放射線療法を加えます。多くの外科医はガンのひろがりの可能性を調べる目的で、一部またはすべてのわきの下のリンパ節も取り除きます。

○長所:乳房の大きな女性の場合には、乳房のほとんどが温存されます。筋力の低下と腕のむくみを生じる可能性はほとんどありません。

○短所:乳房が小さい女性の場合には、乳房に明かな変形を生じます。腕のむくみが生じる可能性は残ります。

D腫瘤切除術(ランペクトミー)

腫瘤切除術(ランペクトミー)は乳房のしこりを切除しその後放射線療法を加えます。ガンのひろがりの可能性を調べる目的で、わきの下のリンパ節の一部を取り除くことが一般的です。この治療法を受けた早期乳ガンの患者さんの治療成績は乳房切除術のそれと同等であることが報告されています。

長所:乳房は取り除かれません。

短所:乳房が小さい割にしこりが大きい場合には、乳房が大きく変形する可能性があります。治療による手術瘢痕が、後の乳房の検査をよりむずかしくすることもあります。腕のむくみが生じる可能性は残ります。

●乳房再建

乳ガン治療法の選択として乳房切除術を考えている場合には、乳房を作り直す方法、乳房再建に関して知る必要があります。この手術法が一般的になりつつあるのにもかかわらず、多くの女性は未だに乳房再建を知りません。

現在では、乳房切除術を受けたほとんどの女性は、乳房を再建することが可能です。皮膚が放射線によるダメージを受けたこと、皮膚が薄く緊張していることや胸筋がないことも、もはや美しい乳房再建の妨げとはなりません。

しかし乳房再建はすべての女性に適用できるわけではありません。また、乳房再建が適さない場合もあります。

乳房切除術の際の皮膚切開線が再建手術に影響を及ぼすことがあるので、できれば手術前に医師と乳房再建に関して話し合うことが望まれます。しかし多くの女性は手術後になってやっと乳房再建を考えます。

乳ガンの放射線療法

早期乳ガンを持つ女性にとって、初回治療としての放射線療法は信頼のおける治療法です。放射線療法は乳房部分切除術、または腫瘤切除術(ランペクトミー)の後におこなわれ、乳房を温存することを可能とします。

生検により乳ガンと診析された場合には、放射線療法は通常は以下のようにおこなわれます。

○わきの下のリンパ節の一部またはすべてを切除する手術

○乳房とその周囲領域へ放射線の外照射

○生検した部分へ放射線の“ブースト(追加)照射”

外照射は体外の装置によりX線を乳房、場合によってはわきの下のリンパ節へ照射します。放射線療法の通常のスケジュールでは、1週間に5日間、計5週間の照射がおこなわれます。乳ガンが存在していた部位に“ブースト(追加)”、または線量を高める照射をする場合もあります。この場合には電子線による外照射または、放射活動性物質を線源として内部に埋め込む方法が用いられます。

早期乳ガンの初回治療として放射線療法を受ける場合には、この治療法の経験が豊かで、認定資格を持つ放射線治療医を選びましょう。

○長所:乳房は取られません。早期乳ガン治療に対する初回治療として腫瘤切除術に放射線療法を併用した場合には、乳房切除術と同等の効果が得られることが最近明らかになってきました。通常は周囲の組織に大きな変形を来しません。治療が終了した後は皮膚は正常な状態に戻ることが一般的です。

○短所:治療の全過程では約5週間連日の外来通院が必要ですし、埋め込み放射線療法が用いられる場合には数日間の入院も要します。治療によって日焼けのような皮膚反応や疲労を生じることもあります。皮膚のかゆみや皮膚がむけることも起こり得ます。放射線療法により感染の危険を高める白血球数の一時的な減少を来す場合もあります。

2007.02.13.12:47 | Permalink | Track Backs (0) |